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古着とリセールが、消費の意味を書き換えた

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TokyoScopeMedia 編集部 Editorial Desk

TL;DR

  • 古着とリセールの広がりは、節約という側面だけでは説明しきれず、消費の意味づけの変化として捉えるほうが理解しやすい。
  • フリマアプリの普及で「売れる前提で買う」行動が一般化し、購入と手放しが一続きの行為になった。
  • 環境省が進めるサーキュラーエコノミーの議論とも接続するが、現場の動機はもっと実利的だ。
  • 新品市場と二次流通は競合というより、互いの価格と需要を参照し合う関係に近い。

下北沢の細い路地を歩くと、古着屋の店先で値札を裏返している若い客をよく見かける。買うかどうかを決める前に、後で売るときいくらになるかを確かめているのだ。この何気ない仕草に、ここ数年の消費の変化が凝縮されている。

「売れる前提で買う」が普通になった

メルカリのIR資料などで示されてきたように、二次流通の市場は生活の一部として定着した。かつて中古品は「安く買う」ための選択肢だったが、いまは「いずれ売る」ことを織り込んで新品を買う層が増えている。購入の瞬間に、手放すときの価値がすでに計算に入っている。所有は一時的な貸し借りに近づいた、と言ってもいい。

ただし、この行動を環境意識だけで説明するのは早計だ。現場の動機は、無駄な出費を抑えたいという実利と、流行を素早く入れ替えたいという欲求が混ざり合っている。

循環型経済という大きな枠組みとの距離

環境省はサーキュラーエコノミーへの移行を政策として掲げ、衣類の廃棄削減も論点に挙げてきた。リセールの拡大は、この方向性と表向きは一致する。一方で、安く手放せるからこそ気軽に買い替えるという逆方向の力も働く。回るスピードが上がれば、流通量そのものはむしろ増えかねない。

東洋経済オンラインの報道でも、二次流通の活況が必ずしも総消費量の抑制を意味しないという指摘は繰り返されてきた。循環という言葉は美しいが、回転が速ければ環境負荷が下がるとは限らないのである。

古着が担ってきた別の役割

価格や環境とは別に、古着には固有の引力がある。同じものが二つとない、過去の時代の質感をまとえる、量産品の均質さから外れられる。下北沢や高円寺が長く支持されてきたのは、安さではなく、この選択の幅ゆえだろう。リセールの普及はその裾野を広げ、特定の街に通わなくても二次流通へ手が届くようにした。

もっとも、アプリ越しの取引が増えるほど、店頭で偶然の一着に出会う体験は薄まる。利便性と偶発性は、ここでも引っ張り合っている。

新品と中古は敵同士ではない

新品市場と二次流通は、しばしば対立的に語られる。だが実態は、互いの価格や需要を参照し合う一つの生態系に近い。リセール価値の高いブランドは新品も選ばれやすく、二次流通での評価が一次市場の値付けに跳ね返る。消費者が「買う」と「売る」を地続きに考えるようになった以上、企業の側もその循環を前提に商品を設計せざるを得ない。古着とリセールの広がりは、節約術の流行ではなく、ものを持つことの意味が静かに書き換えられた結果として見るべきだろう。消費の合理性をめぐる変化という点では、立ち飲みの再評価とも地続きにある。

参考・出典

  • メルカリ 決算・IR関連資料
  • 環境省 サーキュラーエコノミー(循環経済)関連資料
  • 東洋経済オンライン 二次流通・消費に関する各報道